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「万引き・窃盗」に関するお役立ち情報

他人のクレジットカードを不正利用した場合(窃盗罪・詐欺罪)

  • 文責:所長 弁護士 山澤智昭
  • 最終更新日:2025年1月17日

「拾ったクレジットカードを使ってしまった」というニュースを聞いたことがある方や、「友人の名義を借りてクレジットカードを作ってもらった」という話を知人から聞いたことがあるという方がいらっしゃるかもしれません。

実は、このような他人のクレジットカードを不正に利用する行為は、刑法上の犯罪(窃盗罪や詐欺罪)に該当します。

不正利用の態様によっては、複数の罪に問われてしまう可能性があります。

クレジットカードは大変便利なものですが、その分、トラブルとは常に隣り合わせです。

ここでは、クレジットカードの不正利用について、どういう罪に問われる可能性があるのかを解説します。

1 クレジットカードを使った犯罪の態様

以前は、盗みといえば現金や宝石などの形のあるものが対象でしたが、現代のようなネット社会では、クレジットカードを使った決済手段が発達し、それに伴ってクレジットカードを使った犯罪が急増しています。

大量の札束を持ち歩く人は少ないですが、クレジットカードは大抵の人が財布に入れて携帯しています。

持ち歩くと、置き忘れ・紛失・盗難に遭う可能性は当然増えてしまいます。

クレジットカードを使った犯罪の態様は様々です。

⑴ 拾得したクレジットカードを使う

クレジットカード決済のためには、暗証番号の入力を求める店舗も多いです。

暗証番号の設定は、生年月日や連続数字など他人に推測されやすい番号は避けるようにクレジットカード会社も推奨していますし、多くの人はそのように気をつけているでしょう。

したがって、暗証番号を紙に控えていてそれを盗み見られる、などの状況がなければ、こういった悪用はあまり発生しません。

しかし、暗証番号入力には機材が必要です。

また、番号忘れなどの面倒を防ぐために、一部の日常サービスを提供している店舗(例えば、ガソリンスタンド、コインパーキング、コンビニ、スーパーなど)は、暗証番号入力をしなくてもカードを利用できるようにしていることもあります。

また、ネットショッピングでは多くの人がクレジットカード決済を選びますが、こういった場合、「セキュリティコード」といって、カード券面に記載されている3桁の番号のみで認証をしていて、暗証番号の入力は求めないことがほとんどでしょう。

このように、クレジットカードを入手したら他人でも利用ができてしまうのが現状です。

⑵ 他者になりすましてカードを発行

第三者が別の消費者であると偽ってクレジットカード申請をし、クレジットカード会社がそれに気づかずにクレジットカードを発行してしまうケースもあります。

このような「なりすまし」も、犯罪の一類型です。

他人名義のクレジットカードを所持しているだけでも、犯罪になる可能性があるのです。

また、名義を貸した人も同様の罪に問われる可能性があります。

2 クレジットカードを使った犯罪の罪名

⑴ 遺失物横領罪

まず、落ちていた他人のクレジットカードを拾い、警察などに届けるつもりもなく長期間所持をしていると、遺失物横領罪に問われる可能性があります。

(届出のために善意で拾得した場合はこの限りではありません。)

【刑法254条 遺失物等横領】

“遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。”

⑵ 窃盗罪

クレジットカードを盗む行為それ自体は「窃盗罪」にあたります。

窃盗罪は、刑法235条に以下のように定められています。

【刑法235条 窃盗】

“他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。”

⑶ 恐喝罪・強盗罪

クレジットカードを奪うために暴行や脅迫などの手段を使った場合は、窃盗罪よりも重い「恐喝罪」(刑法249条)や「強盗罪」(刑法236条2項)に該当する可能性があります。

他人を暴力や脅し文句によって圧迫して物を盗むという行為は、単に盗むという行為よりもより他人の法益を損なっているといえるからです。

恐喝と強盗の罪状と罰はそれぞれ、刑法249条と刑法236条に以下のように定められています。

【刑法249条 恐喝】

・人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

・前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

【刑法236条 強盗】

・暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

・前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

⑷ 詐欺罪

拾ったり盗んだりした他人のクレジットカードを使ったら、「詐欺罪」が成立します。

クレジットカードの利用者がカードの会員本人かどうかは、カードの加盟店が商品を交付するかどうかを判断する基礎になる重要な事項とされています。

そのため、この点について事実を偽って、商品の交付を受けることは、加盟店に対する詐欺罪になるのです。

不正利用は、他人名義のカードを他人になりすまして利用することはもちろん、自己名義のカードにも成立しえます。

会員に支払意思・能力があるか否かも、加盟店が商品の交付の判断の基礎となる重要な事項です。

そこで、この事実を偽って、商品の交付を受けることも、加盟店に対する詐欺罪になるのです。

例えば、銀行口座が空であり、それを知っていて、なおかつ今後特に収入が入ってくる予定もないのにクレジットカードを利用して高額の買い物をする行為は、あたかも返済能力があるように信じ込ませて加盟店に商品を交付させる行為ですので、詐欺にあたるのです。

詐欺罪の罪状と罰は重く、刑法246条に以下のように定められています。

【刑法246条 詐欺】

“人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。”

3 逮捕されたらどうなるか

窃盗、恐喝、強盗、詐欺など、刑法犯罪に該当するようなクレジットカードの不正発行や不正利用をしてしまった場合、刑法と刑事訴訟法に基づき、警察に逮捕される可能性があります。

逮捕後は、事件の様態によっては勾留や起訴をされてしまうこともあります。

⑴ 勾留

勾留とは、逮捕された被疑者や被告人の逃亡や証拠の隠蔽を防ぐために、刑事施設に留置して身柄を拘束することをいいます。

逮捕後の流れとして、警察は逮捕後最大48時間以内に検察官へ送致する手続きを行い、検察官がそこから24時間以内に引き続き身柄を拘束するかどうかを判断します。

勾留が必要と判断した場合、検察官は裁判官に拘留を申請し、認められれば身柄をそのまま拘束します。

クレジットカード関連の犯罪についても、証拠隠滅や逃亡などに疑いを持たれると、勾留が行われる可能性はあります。

特に、詐欺罪などで組織的犯行を疑われる場合は、勾留の可能性が極めて高いでしょう。

⑵ 起訴

起訴とは、検察官が裁判所に対して犯罪処罰を求める措置で、これを受けた裁判官は有罪か無罪かを裁判で判断することになります。

もし有罪判決を受けてこれが確定しますと、懲役や罰金などの処罰がくだされ、前科がつきます。

クレジットカードを不正利用してしまった人の人生は大きく変わってしまうことになるでしょう。

4 弁護士法人心 松戸法律事務所へご相談ください

大半の人がクレジットカードを所持している日本の現代社会では、つい出来心で拾ったクレジットカードを不正利用してしまう、という事案が日常的に起こり得ます。

クレジットカードの不正利用を放置しておくと、窃盗罪や詐欺罪に問われてしまう可能性があります。

早期に償い、罪を軽くするためには弁護士にご相談ください。

当法人は、刑事事件のご相談について初回30分間を原則無料としております。

他人のクレジットカードを不正利用したことでお悩みの方は、まずは当法人の弁護士へご相談ください

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